正解おめでとう!!

私は口の悪い女の子が好きです。性格の悪い子も好きです。女の子同士の喧嘩を書いたり読んだりするのも当然好きなので、今日のイラストも本当に好きです。でもリンはそんな顔で突っ立ってる場合じゃないと思う。
...というわけで、今日はDaily SAEKOの6日目です。昨日の出来事にショックを受け、クララが冴子に対する抵抗を試みます。リンにも協力を求めてきますが、チオやアカリはその動きを好ましく思いません。この状況をどう収めるか、リンの次の一手は、いよいよゲームのエンディングに繋がる重大な選択につながっていきます。
Steamの実績データを見る限り、虐殺エンドが3つのエンドの中で一番到達率が高く、これはちょっとした衝撃でした。作っている時は、むしろ一番珍しいエンドだと思っていたからです。UndertaleのGルートみたいな気持ちだった…。ただ、ルールに従ってたら虐殺エンドに入ってた、という声もよく聞くし、この辺は今後の課題というやつかもしれません。「時としてルールに逆らうことが正しいプレイになる」というの、Papers, Pleaseとかもやってて、個人的にけっこう好きなギミックではあります。

このまま6日目の話をしてもいいんですけど、今日は特別な日なので、記事の残りはそれを祝いましょう。何を隠そう、今日は冴子の誕生日なのです!

ファンの方から、「どうしてゲーム内日付に2008年10月5日〜11日を選んだの?」という質問をいただきましたが、日付のほうはこれが理由です。プロットの時点で、冴子の誕生日を海のシーンに合わせたいと考えていたので、原案の笛地先生に冴子の誕生日を伺い、それに合わせて1日目の日付を決めました。年のほうは実はけっこう適当です。2003年頃に書かれた原案小説で、冴子が中学生なので、そこから何年か後にしました。でも厳密に計算はしてないし、冴子の年齢も秘密です。
0日目の記事にも書きましたが、ゲームと原案小説は別物です。原案小説のファンの方には申し訳ないのですが、特に冴子の印象は大きく変化していて、原案より弱々しく、影のある女の子になってしまっています。原案小説にも、冴子の孤独な側面は描かれているのですが、ゲームではそれがより前面に押し出されているのではないでしょうか。
こうなった一番の理由は、「開発者が自信満々の冴子を想像できなかった」ということです。まず、現代でゲームを作るうえで、冴子の年齢は20歳以上に設定する必要がありました。そのため、成長した冴子の姿を考える必要があります。原案で描かれた、中学生頃の冴子は容姿端麗で頭も良く、嗜虐趣味があることを除けば絵に描いたような優等生でした。でも、大学生や社会人になると、そもそも優等生という概念はありません。正解のある試験を受ける代わりに、他人と対等にコミュニケーションを取ったり、共感したりされたりすることを求められる。今まで何も考えずに殺してきた何百もの小人たちと同じように、自分も「友達」を作り、「夢」を持つことを強いられるわけです。そんな状況でも、冴子は嗜虐的な趣味を貫き通せるのだろうか?少しずつ、周囲と自分の内面のギャップに苦しみ始めているのではないだろうか?
...もちろん、これは私がゲームの冴子を作るにあたって抱いた、勝手な解釈です。彼女が原案の冴子とは異なるキャラクターであることを、ここで改めて書いておきます。一方で、ある種の指向を持っている人間にとって、こういう悩みは多かれ少なかれあるんじゃないかと思います。周囲と同じものが好きになれない。周囲を苦しめる何かが好きになってしまう。
やや話がズレますが、SAEKOはいわゆる「性癖のゲーム」からやや距離を取っています。性癖最高とか、巨大娘最高とか、そういうことはどうしても思えないからです。失ったもののほうが大きい気がする。でも、だからこそ、他人と違う何かが好きになるとはどういうことなのか、シナリオの執筆中は常に考えていました。SAEKOというゲームは、誰かの性欲を直接満たすことはできないだろうけど、そういう許されない指向を持った人たちに引っかかる何かがあったらいいなと思っています。
